経営学と言う学問(その2)
大学の理工学系の教授や学生が、企業のR&Dとの共同研究により発明した技術をベースに、企業が応用製品を開発、販売した事例は数多く存在するし、自らベンチャー企業を設立、事業運営に乗り出している例も少なくない。大学での研究成果が、そのまま企業に、また社会システムに共通言語として受け入れられ、事業成果に直結する形で社会貢献が出来ている。一方で、欧米では著名な経営学系の教授がコンサルティングファームを設立、自ら経営を実践、間接的に社会貢献出来ている事例もあるが、理工学系の教授や学生達に比べるとその数は圧倒的に少ない。事実、経営学の教授に企業経営を任せれば上手くいくと思っている実務者は多くは無いだろうし、実際の企業経営でその様な事例にお目にかかった事は、私の知る少ない経験の中では皆無である。
確かに経営学の著名な教授が企業に招待され、企業幹部や役員研修等の講師となる事は多々ある。経営史に残る経営者や経営学者の実績、企業のケーススタディの成果を解説、一定の理解と賞賛を得るものの、それはあくまで研修としての知識であり、実務はそう簡単では無いと口に出す経営幹部の言葉を何度も耳にした。「いーよなー、会社経営に責任の無い人は。そりゃーそうかも知れないけど、本来あるべき姿の理論をかざして何でも上手くいくなら誰も苦労しないんだよ」と。