経営学と言う学問(その3)
学問としての経営学は、その理論が企業経営で実践されてこそ初めて意味を持つものだと考えます。勿論純粋な学問としてその理論体系を確立すべく日々研鑽してい大学の先生方の努力には頭が下がるばかりです。また大学での授業を通して、将来優秀な経営者となるべき人材を育成し、間接的に企業成長に貢献、ひいては未来社会にも貢献している事が重要である事は言うまでもありません。しかし、その最先端の経営理論が現在の企業経営に正しく応用されていないとすれば、非常に残念であると言わざるを得ません。長年企業での実務に携わりながら、大学で経営学の研究にも従事してきた身としては、多くの経営の実務者から学問としての質を問われ、実際に企業での理論応用が必ずしも上手くいっていない現状に忸怩たる思いがあります。 では多額の業務委託費用を受け取る事で経営者の懐刀となり、企業の経営戦略やプロセス支援を行ってるコンサルティングファームの方々は、大学の教授陣と同等以上の経営学の知識を有し、クライアント企業の実務や産業の実態を熟知しているのでしょうか。勿論中には優秀なコンサルタントや、MBAホルダーも多数いるでしょう。ただ、業界有数のコンサルティングファームであっても、私の少ない経験では、そうした人材はごく少数であり、大多数は経営学の勉強も、ましてや最先端の経営研究にも従事した事のない人達がほとんどです。 一方で、経済学理論の経営実務応用を研究している教授から、企業からの委託研究を受けた事はあるが、全くこちらの理論も意図も理解して貰えず、喧嘩別れとなって散々な目にあったので、もう企業からの依頼はまっぴらごめんだと言う話も聞いた事があります。何故この様な矛盾する事態に陥るのでしょうか。これは双方の知識レベルの違いや認識の違いを議論するだけでは解決しない、コミュニケーションを司る翻訳機能の欠如が原因では無いのかと言う疑問を実証したいとの思いが、私がコンサルティング会社を起業した理由でもありました。