東京2020オリンピックボランティアを終えて
コロナ禍の中、色々な課題を抱えつつ開催された東京オリンピックも無事閉幕しました。オリンピック期間中の東京都を中心とするコロナ感染拡大を考えると無事と言う言葉には語弊があるかも知れませんが、それでも過去最多のメダル数を獲得した日本選手団の活躍は、メディアを通してコロナ禍で暗い影を落としていた国民に活気を与えたに違い無いと思います。 短い競技人生の中の4年間を、結果的には5年間を、東京オリンピック出場のために費やした選手達、この機会を逃したら二度と表舞台に立つ事が出来ないと分かっている選手達が、オリンピック開催に決して前向きでは無い風評が立つ中で、どの様な思い出で競技に臨んだかを考えると、やはり開催して良かったのかなと思える今日この頃です。 私は、プレスオペレーションチームの一員として国技館で開催されたボクシング競技にボランティア参加しました。 無観客の中、選手、競技関係者、ボランティア、プレスの方々もしっかりした感染対策の規則を守り、競技が予定通り進められた事は、運営を任された関係者の方々や、それに協力したボランティアや選手及びその関係者の努力の賜物であったと思います。ボランティアに参加されていた方々の性別、年齢層、職業や立場、目的も多様でしたが、一致していたのは、このオリンピックを成功裏に終わらせたいとの思いでした。 特徴的だったのは、コロナ禍で授業がWebとなり、キャンパスに行く機会も同級生に会う機会も無くした大学生、同じく在宅勤務で会社の同僚と会う機会を失った会社員やOLの方、定年を迎え会社から切り離された方達、子育てが一段楽した専業主婦の方々などが、ボランティアコミュニティの中で生き生きと活躍されていた事でした。 コロナ禍で人とのコミュニケーション機会が減り、自分の存在価値を認識出来る機会が減り、帰属意識が希薄となり、将来に対する不安が拭えない現状にあって、オリンピックの成功と言う唯一無二の目標を持った同志達のボランティアチームの中で、新たな出会いと交友関係を得て、自身にも活躍の場を与えられ、その努力を日々感謝されるボランティアと言う立場は、いっとき自分が光を取り戻せる素晴らしい機会であったのかも知れません。 それは私も例外ではありませんでした。短い間でしたが、そこで出会った方々の笑顔を忘れる事は無いでしょう。 オリンピックボランティアの方々とチームは社会の縮図であり、アフターコロナの時代、人々が幸せで精神的にも豊かに生きられる社会、組織を形作っていくために必要な、従来とは異なる人と人の繋がり、組織目標、組織活動、人材教育、処遇のあり方を考える良い事例になると思われました。 コロナ感染が深刻化する中で、パラリンピックが開催されますが、オリンピック同様多くのボランティアの方々がその成功を支える力となって、パラリンピックが成功裏に終わる事を祈っています。